
|
(14) 共同戦線
「ジェネシスか……ザフトめ。よくもまぁ、こんなデタラメな兵器を作ってくれたものよ」
紅い長髪を携えた青年がモニターを眺めながら、一人ごちた。リサ・デザイア……ウロボロス
実働部隊の司令官だ。
「モルデルは動くだろう、無事終わるならな。セタ、ケイ、リンよ。オレを止めてみろ。さもなくば…
…世界は変革する!」
リサは常に所持している刀を強く握り締めた。
「そら、行くぜぇ! 激殺ッ!!」
クロトの威勢のいい声と共に、レイダーのミョルニルがデュエル・セイバーへと向かう。
「ふ!」
イザークは破砕球目掛けて、イーゲルシュテルンを連射する。が、ソレで落とせるシロモノじゃ
ない。だが計算された行動だったのだろう。その弾幕によって勢いを失ったミョルニルは本来の 威力は出せずに、イザークはシールドでそれを軽々と弾き飛ばした。
「やるぅ!!」
クロトはソレを見て、歓声をあげた。
「言ってろ! デュエル・セイバーの追加装備を見せてやる!!」
すると、以前は見受けられなかった、奇妙な形のバックパックをデュエル・セイバーが外したの
だ。同時にシールドを放り投げた。
「お?」
「これが……!」
そのバックパックが剣のようなフォルムへと変形した。その形はまるでサーペントテールの劾
が乗りこなす、ブルーフレームセカンドLのタクティカル・アームズに酷似していた。
「フレキシブル・アームズだ!!」
イザークはその聖剣を振り上げた!
「おっひょぉ〜! そんな隠し武器持ってんのかよ!?」
クロトは目を丸くして、その剣を見た。
「行くぞ!!」
イザークはF・アームズを振り上げ、クロトに迫った。
「おわ!?」
クロトは2連砲で防御態勢をとる。イザークは構わず、F・アームズを勢いよく振り下ろした。
「ぬん!!」
レイダーはその強烈な剣戟に見事耐えた。が、そう長く持つモノではない。クロトはF・アームズ
を弾き返して距離をとる。
「ち……重てぇな!」
クロトはレイダーの右腕を見た。先ほどの攻撃で2連砲にへこみが出来上がっている。次、受
けたら2連砲が使用不能になるかもしれない。
「逃がさん!!」
F・アームズが変形して、エネルギー砲の砲口が見えた。
「!?」
「喰らえぇ! 『ケルト』 !!」
400ミリ高出力殲滅砲『ケルト』 が火を吹いた!
「くぅ!?」
その強烈な砲がレイダーに向かい!?
「アズラエル様が!?」
ドゥーリットル艦橋でサザーランドは驚愕の声をあげた。
「は……先ほど、そのような情報が」
「ぬぅぅ! おのれコーディネイターが!! 核ミサイルを早くプラントへ叩き込め! アズラエル
様の弔いだ!!」
サザーランドは鬼のような形相で叫んだ。が、
「そうはいかん」
「何!?」
サザーランドが外を見ると、一機のM1−Aアストレイが漂っていた。右肩に『神無』 という文
字が刻まれていた。
「キサマのような『魔』 は……オレが絶つ!!」
M1−Aがドゥーリットルへと突っ込んできた!
「く! 迎撃だぁ!!!」
サザーランドが必死の形相で叫ぶが、機体はそれを軽くいなしていく。
「ムダだ。オレにはキサマらの殺意が見える。見えるのだ」
パイロットは静かな声で返す。そしてついに、M1−Aがドゥーリットル艦橋へとたどり着いた。
「……なんだ? キサマはぁ!?」
震える声でサザーランドが問うと、答えが返ってきた。
「『拳神』 バリー・ホー。『魔』 を絶つ者だ」
M1−Aのビームサーベルが艦橋へと突き刺さり……サザーランドたちの体を消滅させ、ドゥー
リットルを撃沈した。内部の核ミサイルごと。
「……姫は無事だろうか?」
バリーはそのまま、ヤキン防衛網へと向かっていった。
「くそぉ! 一人じゃ無謀だったかな!?」
カガリはストライクルージュでヤキン防衛網のザフトMSらと死闘を繰り広げていた。今はSEE
Dを発動中だ。だが、この圧倒的な能力と言えども、多勢に無勢だ。少しずつ、カガリは追い詰 められていった。もう少しなのに!
「このぉ!!」
「無様ね」
突如、挑発的な声が聞こえたかと思うと、強烈なビームがザフトMSらを消滅させた! この砲
は……『ゲイボルグ』 !
「ケルベロスか!!」
「セレナ・ベルゼブルよ。よろしくね、オーブのお姫様、カガリ・ユラ・アスハ?」
「お前、何しに来たんだ!?」
「ふふ、あのいらないモノを壊しに来たの」
「え?」
「昔の私が大切にしていた場所を壊すアレをね。壊しに来たの」
「そうなのか?」
カガリが目の前の機体を睨みながら尋ねると、
「ええ、そうよ? そして、貴女も殺しに来たの」
「ッ! そうかよ! なら、ここでケリをつけるか!?」
カガリが身構えると、
「姫、お下がりください」
「な、バリーか!?」
突如、バリーのM1−Aが乱入した。バリーはカガリをかばうように前に出て、セレナのケルベ
ロスと対峙する。
「へぇ? 骨のありそうなヤツね。少し遊ぼうかな?」
「遊びか。ふ、遊びで済むと思うか?」
バリーが挑発的に言うと、
「やってやろうじゃないの!!」
ケルベロスが勢いよく、襲い掛かってきた。
「破ッ!!」
M1−Aがカウンターの要領で掌打をケルベロスに叩き込んだ。モロに喰らい、吹っ飛ぶケル
ベロス。
「やるわね! とても量産機とは思えないわ!!」
すぐさま態勢を整え、バリーへと向かっていった。
「来い! すぐに終わらせてやる!!」
「……あいつら」
だが、カガリは不安気にバリーとセレナの戦いを見守っていた。果たして、この二人が戦って
いいのだろうか?
「な……んだと?」
クロトは背後で槍を構えたまま、防御態勢になっている機体を見て驚愕の目で見た。
「ふぅ。 危なかったな、クロト?」
「イザーク……アンタ?」
先ほどの砲撃は背後の機体を狙っていたのか? 敵であるハズの自分を助けるためにか?
「勘違いするなよ? お前との決着がついていないのに、そこの機体に倒されるのは後味が悪
いって思っただけだ」
「ちぇ、言ってろよ!」
「……で? キサマ何者だ?」
イザークが槍を構えている、左手がMSの頭を包み込めるほど巨大で、漆黒のボディで真紅の
ラインが入っているMSを睨みながら問うた。
「へぇ? さすがはザフトのエース、イザーク・ジュールねぇ? 私の接近に気づくとはねぇ?」
女の声だ。それもとびっきり嫌味な。
「アレでこっそりのつもりなのか? あまり質のいいパイロットではないな?」
イザークも嫌味に言ったが、内心冷たい汗をかいていた。クロトに被害が及ばないように本気
の出力『ケルト』 を撃たなかったが、それでも十分な威力のハズだ。それをあの槍で防ぐとは!
「ふぅ〜ん? 言うわねぇ。死ぬ? このブラッドの槍を避けれるかしら?」
殺気! ブラッドが消え、一瞬でデュエル・セイバーの目前に迫った!
「はやっ!」
「死ね!!」
ブラッドがデュエル・セイバーのコックピット目掛けて、槍を突き出した。物理攻撃ならばPS装
甲で防げるハズ! だが、イザークは嫌な予感に襲われ、横手に避けた。勘は当たった。わき 腹を槍が掠めたのだが、槍はわき腹のPS装甲(しかも、以前ストライクにやられた部分) をあ っさり削った。もし、コックピットで受けていたら、自分の体も貫かれていた!
「何ィ!?」
イザークは物理攻撃であるはずの槍の突きが、PS装甲を切り裂いたのを見て、驚愕の声を
あげた。
「ち、勘がいいわねぇ。さすがだわ」
「……なぜ、クロトを殺そうとした?」
「生きていたら、ウロボロスの強化実験データが読み取られると思ったからよ。あの方からの御
指示でね」
「ウロボロス? あの方?」
イザークは聞きなれない単語に眉をひそめた。が、同時に理解した。やはりあの連合の次世
代GATシリーズに搭乗しているのは強化人間だったのだ。ザフトの調査データで閲覧したことが ある。
「おい、クロト。ウロボロスってのは何だ? ブルーコスモスの下部組織か?」
イザークが傍らのクロトに問うと、
「いや、知らねぇ……アズラエルのおっさんからは何も言われていなかったからな」
強化手術を受けたクロトも詳細を知らないらしい。この分だと、残りの3人も詳細は分からない
のだろう、とイザークは推測した。
「お話はここまで。イザーク・ジュール。先ほどの攻防でお前が危険だと言うことが分かったわ。
ここで殺すよ!!」
イサカルが突進してきた!
「やれるものならやってみな!!」
イザークもF・アームズを構え、突撃した!
「ち! そこの槍持ったヤロー! オレも忘れるんじゃねぇ!!」
クロトもミョルニルを振り上げ、イザークと共にブラッドに立ち向かった。
「クロト!?」
「勘違いすんなよ? オレとの勝負から逃げてほしくねぇからだよ!」
「言ってろ! 足引っ張るなよ?」
「そっちこそ、撃滅!!」
こうして、イザーク&クロトの即席コンビが誕生した。
「ジェネシス照準! 連合月面基地!!」
ここはヤキン司令部。オペレーターがジェネシスの照準を調整していく。
「ふん! 増援部隊か! 小癪なナチュラル共め! これで終わりだ!! ジェネシス発
射!!!」
パトリックが高らかな声で命を下した! ジェネシスから終焉の光が放たれた!
「ぬわぁ!?」
「おわぁ!?」
ディアッカとオルガはその光にたじろいだ。
「くわぁ!?」
「これは! 父上ぇ!!」
アスランとシャニも同様にたじろいだ。
「アレは!!」
マリューが青ざめた顔でサイの方を振り返る。
「目標は!?」
「これは! 連合月面基地です!!」
サイが目標地点を睨みながら答えた。何千という連合兵士たちが基地と共に消滅という道を
歩んでしまった。
「月面基地が!」
ナタルが悲鳴のような声をあげた。すると、マリューはとんでもないものを見た。
「ジェネシスのミラーが…交換されている!?」
これ以上何を撃つ気だ!? まさか……そうなのか?
「させはしない!! 全力でジェネシスを潰す!!」
アークエンジェルとドミニオンはジェネシスを破壊するために前進した。
「父上ェ!!」
アスランはシャニとの勝負をほったらかして、ジェネシスへと突進した。
「アスラン、アンタ?」
シャニもジャスティスの首を取ることを忘れて、アスランを追った。
「父上って……ジェネシスにいるのはアンタの親父なのか?」
シャニはアスラン・ザラという名前を聞いて、パトリック・ザラの血縁者ということは分かってい
た。
「ああ、そうだ! だからお前に構っているヒマはない!!」
「……アレぶっ壊すなら手ェ貸すよ?」
シャニの意外な申し出にアスランは驚く。
「なんのつもりだ?」
「別にィ? オレ、あのジェネシスっていうデカブツがウザいだけだしィ? だからだよ」
本心は別なのだが。
「……いいだろう。だが、妙な素振りを見せたら、お前を撃つ!」
「できるもんならな」
アスランとシャニはジャスティスとフォビドゥンを駆り、ジェネシスへと向かった。
「連合の月面基地が?」
ディアッカはモニターのキノコ雲を睨みながら言った。あそこで何千何万という命が一瞬で消滅
した。そして目前ではジェネシスがミラー交換を始めた。今度の狙いは……!
「ち! バカ野郎共が!!」
オルガとの決着は着けたいが仕方がない。ディアッカはバスター・エクスキャリバーを駆り、ジェ
ネシスへと向かう。すると、オルガのカラミティもついてきたのだ。
「オルガ! テメエに構っているヒマは」
「うるせぇ! オレもデカブツぶっ壊しに行くんだよ!」
「なんだと? どういう事だ?」
オルガの言葉にディアッカは眉をひそめた。
「ある女と約束した。過去の自分が大切に思っていたかもしれない人、場所を守ってほしいって
な! オレはそいつとの約束は絶対に破れねぇんだよ!!」
オルガの言葉にディアッカは笑みを浮かべた。
「へぇ〜お前もそんな理由かよ。オレも似たようなもんさ。アイツの居場所をオレは壊させたくは
ないんだ。だからオレはアレを壊す!!」
「とりあえずは休戦だな? だが、これが終わったら」
「ケリは必ず着ける!!」
バスター・エクスキャリバーとカラミティはジェネシスへと向かった。
「カナード! やめろ!!」
キラはハイペリオンのビームマシンガンをよけながら、兄に向かって叫んだ。
「ジェネシスが撃たれたんだぞ!? 君との勝負は」
「そうはいくか! キサマはおそらくジェネシスを破壊したら、オレと本気で勝負はしない! オレ
は本気のキサマを倒したいのだ!!」
カナードの言葉にキラは唇を噛む。本当だからだ。
「来いよ、キラ! 本気でオレを倒したら、まだ間に合うかもしれんぞ!?」
「くそ! やるしかないのか!!」
キラはフリーダムとミーティアの全火力をハイペリオンにぶつけるが、
「ムダだ!!」
ハイペリオンは光波防御帯を発生させ、全ての砲火を防ぎきった!
「何度言ったら分かる? ムダだ……!」
カナードの目前にミーティアをパージしたフリーダムが飛び込んできた。
「バカが! 自殺でもする気か!?」
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
フリーダムはそのままハイペリオンへと突っ込み……光波防御帯へと飛び込んだ。
|