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今夜の番組チェック

 憎しみと殺意が交錯する宇宙。
 戦士たちはその中を駆ける。
 ただ、その無益な争いを止めるため。
 大切な者を護るため。
 だから……。


(15) 決着


「急ぐぞ! もうすぐ、ジェネシスが放たれる!!」
「分かってる!!」
 ディアッカとオルガはジェネシス内部への突入を果たそうとしていた。カラミティがスキュラを放
ち、内部へのハッチを貫いた。その開いた穴から入ろうとするが、ザフトのMSらがビームを乱
射してきた。意地でも通さないつもりだ。
「おいおい! いい加減にしろっての!!」
「こんのヤロー! テメエら如きに構ってられっかよ!!」
 ディアッカとオルガは身構え、MSの集団に猛烈な火砲を打ち込もうとしたが、
「ここは任せろってば!」
 曲がるビームがMSらを薙いで行った。こんな事ができるMSは!
「シャニ!!」
 オルガが盟友の名を呼ぶ。オルガの目線の先にはフォビドゥンとなぜか紅い機体、ジャスティ
スが。
「あん? なんで紅いのがいるんだよ?」
 オルガが当然の疑問を言うと、
「細かいことは後だよ。オルガとディアッカとやらはさっさとデカブツぶっ潰しにいってよ。コイツら
はオレが片付けるから」
「……死ぬんじゃねぇぞ?」
「何言ってんの? オレを誰だと思ってるのさ?」
「へぇ? 死神さんよ、後はよろしくな!」
 言ってる間にザフトのMSらは態勢を整え、一行へと襲い掛かってきた。数が多い。フォビドゥ
ンといえども、どこまで耐えられるか!?
「く……! アスラン! アンタも行けよ!!」
「何!?」
 アスランはシャニの申し出に驚く。
「お前は!?」
「コイツらをぶちのめす! あのヤキンには親父がいるんだろ!?」
 シャニの言葉にアスランははっとなる。そうだ……まだやるべきことがある!
「オトシマエ着けてこいよ!」
「……分かった! オレの首を取るまで死ぬんじゃないぞ!!」
 ジャスティスはミーティアをパージして、ヤキン内部へと向かった。
「言われなくても……ね!」



「月基地が!?」
 イザークが驚愕の表情で惨劇の一部始終を見送った。
「次は地球かな〜? 何人死ぬんだろ〜ねぇ?」
 ブラッドから嘲りの声が聞こえた。イザークはキッとブラッドを睨みつけた。
「キサマ! 斬る!!」
 イザークがF・アームズでブラッドに切りかかるが、ブラッドはそれを槍でいなした後、デュエル・
セイバーに巨大な左の拳を叩き込んだ。その衝撃で、デュエル・セイバーはF・アームズを手放し
てしまう。
「うぐっ!?」
 凄まじい衝撃にイザークは顔を歪めた。スキだらけだ。
「あはっ♪ 死ね〜!!」
 そのままデュエル・セイバーのコックピットを貫こうとするブラッド。しかし、
「そりゃあああああああ!! 滅殺!!!」
「ち! 強化しただけのゴミが!!」
 ミョルニルが両者の間を薙ぐ。ブラッドは後退するが、イザークはそれを見て会心の笑みを浮
かべた。
「今だ! 『ケルト』 !!」
「なんですって!? きゃっ!!」
 ブラッドの頭部が高出力砲で消滅した。独立移動をしていたF・アームズが背後から狙撃した
のだ。
「このゴミ! ハンド・ファミリアで穴だらけにしてやるッ!!」
 突如、ブラッドの左手の5本の指が射出され、デュエル・セイバーとレイダーを囲んだ。
「何ッ!?」
「げげッ!!」
「行けェ!!」
 5本の指が一斉にビームを放った。イザークとクロトは必死にそれをかわしていくが、ビームは
巧みに2機の退路を断っていき、ビームが鳥篭のように2機を囲んだ。そのビームはデュエル・セ
イバーの左腕と右足。レイダーの右腕と頭部、両足を粉砕した。
「ぐぅぅ……くそぉ〜! 激め、グア!?」
 クロトは大破したレイダーで、ミョルニルを放とうとしたが、体の異変がそれをさせなかった。r
−グリフェプタンの効力が切れたのだ。
「やっぱり失敗作ねェ? これだから役立たずは……やはりここで殺すわ!!」
 ブラッドが無防備なレイダーへと迫っていく。それを見たイザークは、
「このォ! キサマなんかにィ!!」
 人をゴミ扱いする相手への怒りの中で、イザークの内で何かが弾けた。
「やらせるかァァァァァァ!!!」



「あれか!!」
 ディアッカはジェネシス内部へのハッチを見つけた。だが、ザフトMSがそれを守ろうと行く手を
阻む。
「オラオラオラァ〜!! 邪魔すんじゃねぇよ!!」
 オルガのカラミティが全砲門を乱連射した。その猛烈な火力にザフトMSは次々と戦闘不能に
陥っていく。バスター・エクスキャリバーもミサイルと腕部ガトリングガンでザフトMSを蹴散らして
いく。
「いっくぜぇぇぇぇぇ! ブチ破れェェェェェェェ!!」
「オラ、ぶっ飛びなァァァァァァァ!!」
 バスター・エクスキャリバーの「アーサー」。カラミティのスキュラが火を吹き、ハッチを吹き飛ば
した。内部へと侵入する2機。だが、その通路でもザフトMSが邪魔をしてくる。だが、2機を止め
ることはできない。鬼神の如きの強さで、次々とMSを蹴散らしていく2機。そして、ついにたどり
着いた。ジェネシス中心部へ。
「ここか……」
 ディアッカとオルガが巨大なカートリッジを見上げる。
「ムダにでけぇな。さっさとぶち壊そうぜ!」
 オルガが全砲門を中心部に向けるが、ディアッカがそれを止めた。
「ちょい待ち! ムダにやるとかえって面倒だ。エネルギーがMAXになった時に撃つんだ。こ〜
いうのはさ、直しようもないぐらいに、やった方がいいのさ」
「……ち! めんどくせえな!」
「しょ〜がねぇだろ? なんせこの質量だ。完膚なきまでにぶっ潰すには、これが一番なんだよ」
 ディアッカとオルガはひたすら、その時を待った。ただ、ひたすら。



「なんだ……って?」
 犬上は信じられなかった。連合のMSに『ウロボロスのDN』 が敗北した。キメラの自分が、ナ
チュラル如きに……敗北した。
「はぁ〜疲れたぁ、帰って冷えたビールでも、モーガンのオッサンに奢って貰いたいぜ!」
 ソードカラミティも左腕が?げるなど、他にも細かい損傷はしているが、まだまともに起動可能
だ。対して、レフレクションは四肢が見事に切断されていた。戦闘不能状態だ。
「……お前、何者なんだ? 連合でもザフトでもオーブでもない。お前はなんなんだ!?」
「……いつか分かるぜ。いいか!? アンタはオレが殺す! 絶対にだッ!!!」
 レフレクションの姿が揺らぎ……消失した。
「!? ……ミラージュコロイドじゃないな。やれやれ。厄介な連中がいそうだねぇ……」
 エドワードはコックピットに深く身を沈めた。



「行くぞ!」
 アスランがカガリとバリー。そして、セレナを率いてヤキン司令部への道を進んでいった。セレ
ナはジェネシス2射目を見た後、カガリとバリーを無視し、そのままヤキン司令部を目指し始め
たのだ。それを見た、カガリとバリーもその後を追った。3人を待っていたのは、ミーティアをパー
ジしたジャスティスから降りたアスランであった。利害一致からセレナは3人と同行することにし
たのだ。アスランたちは前方の兵士たちに銃を撃ちながら、通路の死角へと移動した。相手の
数は5人。
「アスラン君、姫、セレナ君。オレがやるから援護を頼む」
 バリーは常日頃、携帯している刀を居合いのように構えながら言った。アスランとカガリ、セレ
ナは黙って頷いた。
「では……参る!!」
 通路に飛び出し、バリーは銃弾が当たる確率の低い場所を選びながら、兵士たちに接近す
る。アスランたちも背後から援護をした。兵士たちもアスランあっちの銃撃と、バリーの動体視力
のせいで、思うように目標に当てることができない。そうこうしている内に、バリーが肉迫する!
「せぇい! でぇい! そりゃあ! 活ッ! 破ッ!!」
 バリーは5回の斬撃で全ての兵士を無力化した。恐るべき技量だ。
「……殺したのか?」
 カガリがバリーに近づいて尋ねた。
「ご心配なく。刃の背で打ちましたから、気絶しているだけですよ」
「よかった……」
 カガリが安堵のため息をつくと、セレナが皮肉を言った。
「フ、あたしたちを殺そうとしたヤツの心配をするなんて、変わった娘ね」
 そんなセレナにカガリは意志の強い瞳を向けた。その瞳を前にたじろぐセレナ。
「もう、人の死は御免だからな……オーブでも軍人だけでなく、民間人にも被害が及んだから…
…」
 それだけ言うと、そのまま進んでいった。しばらくその背を見つめていたセレナにアスランが近
づいた。
「オレにも言ったセリフなんだけどな。アイツはああいうヤツなんだ。解ってやってくれ」
 セレナの右肩に軽く手を置き、アスランは笑いながら言った。
「……変わった娘。オルガが相手のパイロットに興味を持つのがなんとなく解ったわ」
 苦笑しながら、セレナもその後を付いていく。もうすぐ、中心部である。そこを占拠すれば!



「く……あああ!!」
 ブラッドの体中から火花が散っている。デュエル・セイバーはF・アームズの切っ先をブラッドに
向けたままだ。イザークの感覚は今までに無いほど、澄み切っている。
「退け。そして、お前の背後にいるヤツに伝えろ。キサマらのようなコソコソしているような、腰抜
け共にオレが倒せるかとな!!」
「……ぐ、次は殺すわ! 愛しいあの御方のために!!」
 ブラッドはそのまま宇宙の彼方へと飛び去っていった。イザークはそれを見送ると、背後のレイ
ダーへと駆け寄った。
「クロト! おい、しっかりしろ!」
「へへ……タイムアップだ。早く……ドミニオンで薬を」
「わかった! 行くぞ!!」
 デュエル・セイバーはレイダーに寄り添い、ドミニオンへと向かった。イザークの視線の先には
フォビドォンに寄り添った、ロングダガーが見えた。どういった経緯か知らないが、サハク派の誰
かがシャニを助けたようだ。



「バカが! 自殺する気か!?」
 カナードはキラの行為を見て、驚愕の表情となる。
「く……おおおおおおおおお!!」
「……考えなしの戦法じゃ、オレには勝て……んだとぉ!?」
 カナードはフリーダムの背後から迫ってくる物体を見て、驚愕の表情となった。ミーティアだ。ミ
ーティアがフリーダムを後押しするように、防御帯へ、突っ込んだ!
「何!?」
 カナードの目前でミーティアが爆発した。爆発のショックで防御帯に緩みが生じた。次の瞬間!
「がああ!?」
 衝撃。見ると、ハイペリオンの左腕が切断されていた。速い!
「でえええい!!」
「くそ、ナメるなぁ!」
 フリーダムのビームサーベルとハイペリオンのビームナイフがぶつかり合う!!
「カナード! 君はキラ・ヤマトにはなれない! カナード・パルス以外にはなれないんだ!!」
「何を!?」
「なんで、殺しあわなきゃいけないんだ!? 兄弟が、何故!?」
「く……!」
 カナードはキラの言葉に唇を噛んだ。たしかに……以前、不本意ながらも撃った紅いストライク
に乗っていたのは、実の妹。今、目の前にいるのは、実の弟。撃てるのか?
「だが、オレはッ……! 引き返せないんだ!!」
 カナードがさらなる、攻撃を仕掛けようとした時、
「もう止めましょう」
 静かな声が聞こえた。プレアが駆るドレッドノートが現れたのだ。プリスティスやドラグーンはも
うすでに修復されている。(風花はリ・ホームに降ろしてきた)
「プレア君!」
「プレア?」
「カナードさん……貴方はもうわかっているハズだ。カナード・パルスはカナード・パルス以外の存
在にはなれないことを……」
「!」
「……貴方には本当にやらなければならないことがあるハズです。メリオルさんはどうなるのです
か?」
 カナードはハッ! っとした。メリオル……今まで自分を支え続けてくれた、最愛の女性。もうあ
の時から自分はわかっていたはずなのだ。自分は「本物」 になるために戦い続けていたわけで
はない。最愛の人やアルテミスの仲間を守るために戦っているのだ、ということを。
「……ああ、お前に言われなくてもわかっているさ。まさか、一番超えたかったヤツにそんなこと
を言われるとは、オレもまだまだだな」
「カナードさん……」
「カナード……」
「オレは母艦のオルテギュアを守りに行く。キラ、プレア……お前らはジェネシスの撃破に専念し
てくれ」
「わかった!」
「わかりました!」
「キラ……カガリに悪かったと伝えてくれ。プレア……ありがとう」
 ハイペリオンはオルティギュアへ向かった。
「プレア君、僕達も!」
「はい、キラさん!」
 フリーダムもドレッドノートもジェネシス方面へと向かった。ここに……メンデルで生まれた2人
の強大な力を持った兄弟の因縁の鎖は切れたのだった。



「ドミニオン! イレブン・ソキウスです! フォビドォンのパイロットが危険な状態です! 着艦許
可を!!」
 ザフトのMS部隊に苦戦していたシャニは、サーペントテールと共に、この戦場を駆けていたイ
レブン・ソキウスに助けられた。禁断症状によって、体の言うことが聞かなくなっていたシャニにと
っては、ラッキーな事であった。
「ジュール隊隊長、イザーク・ジュールだ! レイダーのパイロット、クロト・ブエルの状態がおか
しい! 着艦許可を!!」
 デュエル・セイバーとロングダガーはドミニオン目前へと向かっていた。ナタルは即刻許可を出
した。4機のMSがドミニオンへと着艦した。
「クロト!!」
 イザークがレイダーのコックピットハッチを強制解除させ、クロトの体を引きずり出した。イレブ
ンは既に、シャニをドミニオンの医療スタッフに託した。
「……へへ。なんとか生きてるねぇ……」
「ふん。そんなへらず口を叩けるなら、心配ないな」
「あったりま……」
 クロトはそのまま気を失ってしまった。
「ブエル少尉とアンドラス少尉を医務室へ! 頼むぞ!!」
 アナウンスでナタルが医療スタッフに指示を出す。
「アークエンジェルとドミニオンの援護に回るか」
 イザークは再びデュエル・セイバーに搭乗し、ドミニオンから離脱した。イレブンもロング・ダガ
ーで、イザークに同行した。



「父上!!」
 アスランたちは、司令部へ、殴りこみを開始した!
「アスラン……この愚息が!!」
 パトリックは血走った目で、アスランを睨みつけた。
「もうやめましょう! これ以上の犠牲は」
「黙れ!! お前は忘れたわけではあるまい!? お前の母を奪った連中だぞ、ヤツらは!!
 それを許せと言うのか、アスラン!?」
「……忘れたわけではない! いや、忘れられるわけがない!! しかし、母上はこんな事を望
むはずがないんだ!!!」
「レノアの事を裏切り者が、軽々しく口にするなァ!!!」
 パトリックは懐の銃をアスランへと向けた。それよりも速く、パトリックを撃った者がいた。
「え!?」
 アスランは背後を向いた。カガリ、バリー、セレナ…位置的に彼らではない。そして、周りのザ
フト兵ではない。アスランはふと、上から気配を感じ、見上げた。
「危ないところでしたね、アスラン?」
 何者かが、宙に浮いていたのだ。その人物とは!
「……ニコル? そんなバカな!?」
 アスランは驚愕の表情で、ニコルと思われる人物を見た。
「すみません、アスラン。僕がいる事が不思議でしょうが、詳しくはまだ言えないんです。いつか、
またお会いしましょう」
 ニコルの姿が薄らいでいった。そして……消えた。
「そんな……なんで?」
「アスラン……」
「……! パトリック!?」
 セレナの声で、アスランは我に返った。見ると、胸から血を流しているパトリックが、なにやらコ
ンソールを操作していた。アスランは顔を真っ青にしながらも、自分の父の右肩を撃った。コンソ
ールから弾き飛ばされるパトリック。その顔は、憔悴に満ちていた。
「父上……!」
「アスラン……レノアはな、私にとって……かけがえの無い女性……だったのだ。その彼女が…
…もういない世界など、私は……認め……ない」
 それ以上、パトリックは言葉を紡ぐことは無かった。バリーがパトリックに駆け寄って、脈を測っ
たが……バリーは首を横に振った。
「……そうですか」
 アスランは沈痛な顔をしていたが、決意の表情で再び顔を上げた。アスランはパトリックが操
作していた、コンソールへと近づいた。それを見て、冷静な口調で言った。
「ジェネシスの自爆コードが、発射プログラムと連結している」
「それって、つまり自爆はするけど、ジェネシスはきっちりと地球を道連れにするって事?」
セレナの問いにアスランは静かに頷いた。
「いざとなったら、ジャスティスの自爆で、ジェネシスを!」
「アスラン! ダメだ、そんな事!!」
「しかし! もう時間は!!」
「大丈夫よ」
 セレナの声に、アスランとカガリ、バリーは振り向いた。
「オルガたちがいるわ」
 セレナはいたずらっぽく微笑んだ。それは、とびっきりの勝利の女神の笑みだった。



「……! おい、ディアッカ! 動きだしたぜ!!」
 オルガがディアッカに呼びかけた。稼動音が空間内に響き渡る。地球へ終局の光が放たれよ
うとしている。
「んじゃ、まぁ有終の美ってのを飾りましょうかね?」
 バスター・エクスキャリバーの「アーサー」 が、ジェネシスの核カートリッジに向けられた。
「ああ、ちゃっちゃと終わらせようぜ……!」
 カラミティの全砲門も目標に向けられた。光り輝く、核カートリッジ。来る!!
「こんのォォォォォ!!!」
「オラ、ぶっ飛べェェェェェ!!!」
 希望の光と終局の光がぶつかり……世界は光に包まれた。


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